A QUIET PROFESSIONAL
言葉より先に、
手が動く人。
小川沙織は、自分のことを話すのが得意ではない。けれど、鏡の前に立つ人のこととなると、話は別になる。顔立ちを見て、ドレスを見て、その日の照明を思い浮かべて、黙々と手を動かす。仕上がりを見た人が「自分じゃないみたい」と言うと、そこでようやく少し笑う。
真面目で、前向きで、声を荒らげたところを見た人がいない。頼まれたことを断らないのではなく、できる形を探す。
アクセサリーを一点ずつ手づくりするのも、学び続けてきたのも、理由はひとつ。踊る人が、いちばん美しい自分でフロアに立てるように。熱は、表には出ない。仕上がりに出る。